モノをたどる旅―UA Stoolを通して見える丹後の魅力―

旅とトレイル

モノをたどる旅―UA Stoolを通して見える丹後の魅力―

心魅かれる商品の背景には、どんなストーリーがあるのだろう。

モノを通して丹後を巡ることで、まちの魅力を再発見する旅「TRACE THE TANGO」(主催:ATARIYA)。そのモニターツアーに参加してきました。

今回のテーマは、「UA Stoolをたどる旅」です。

訪れるのは、京都府北部丹後半島の付け根に位置する与謝野町エリア。与謝野町は、古くから繊維産業が盛んなまちで山や川など豊かな自然に恵まれた地域です。

ツアー主催者であるATARIYAさんは、与謝野町にあるコミュニティスペースを運営している会社。「地元をつなぐことで地域に貢献したい」との想いから今回のツアーを企画しました。

巡る場所は、UA Stoolを開発した丹後ちりめんの生地を製造する宮眞(みやしん)株式会社(以下、宮眞)と、家具メーカーのARIA FACTORY HOME。昼食には、地元食材たっぷりのヤマノウエ食堂に伺います。日帰りで、タクシーを貸し切っての移動となりました。

そもそもUA Stool って?

そもそもUA Stool って?
UA Stool

UA Stoolとは、宮眞の丹後ちりめんと、地元オーダー家具メーカーARIA FACTORY HOMEがコラボレーションした椅子。

シンプルながらも遊び心のあるデザインで、場所や用途に縛られずに使える一品です。

普段訪れることのない工房や職人さんの姿を見ることができると、ワクワクした気持ちでツアーをスタートしました。

織りつなぐ伝統・丹後ちりめんの宮眞へ

織りつなぐ伝統・丹後ちりめんの宮眞へ
厳しい目で管理する工場スタッフ

まずは、UA Stoolの座面に張るちりめんを製作している宮眞へ。ちりめんができる工程を見学します。

実際に紡がれる様を見ていると、我々がふだん何気なく使っている品も、さまざまな技術の蓄積から生まれていることが実感できました。

与謝野はちりめんで隆盛を誇ったまちですが、現在は昭和30~40年代に迎えた最盛期の3%ほどの出荷数になっているそう。

「伝統を途絶えさせないためにも、新たな取り組みを行うことが必要」と語る社長の宮﨑さん。UA Stoolも、その一つ。ファッションだけではなく、インテリアとしても使われる、新たな丹後ちりめんの楽しみ方が広がっていきそうです。

宮眞株式会社社長の宮﨑輝彦さん

今回は特別に、倉庫に眠るデッドストックの生地を見せていただくことになりました。

色鮮やかなものや、幾何学のモダンな柄のものなど、想像以上に多様な顔ぶれ。布好きにはたまらない空間が広がっていました。

多彩なちりめん。昭和60年代の景気が良かった頃のものが多いそう

地元食材をたっぷり使ったヤマノウエ食堂でランチ

地元食材をたっぷり使ったヤマノウエ食堂でランチ
地元食材を使用しているランチ「ヤマノウエ定食」

車で20分ほど移動して、向かったのはゲストハウス「かや山の家」内のヤマノウエ食堂。ここでランチをいただきます。

ヤマノウエ食堂は、かつて林間学校などで使われていた「かや山の家」がリニューアルされた際に生まれた食堂。ジビエをはじめ、地元の食材がおいしく食べられると人気です。

この日のランチは、鹿肉を使ったローストやグラタンをメインに、ふきのとうの天ぷら、にんじんごはんなど旬の食材を使った料理が並びます。

料理長を務める青木さん曰く、「山の食材も海の食材もそろう丹後は、料理の環境としては最高」とのこと。ここでなければ食べることのできない丹後の魅力がたっぷり詰まったお食事でした。

かや山の家を運営する青木夫妻
地元ジビエのランチが人気 与謝野町の「かや山の家」

地元ジビエのランチが人気 与謝野町の「かや山の家」

2022.3.1

シンプルは、奥深い。UA Stool誕生の瞬間

シンプルは、奥深い。UA Stool誕生の瞬間
ARIA FACTORY HOME

お腹いっぱいになった後に訪れたのは、ARIA FACTORY HOME。UA Stoolのフレームが生まれる工程を見学します。

UA Stoolは一見、シンプルな家具ですが、隠された工夫がいたるところに施されています。

例えば、サイズ。フレーム部分はサブロク版の合板素材を使用していて、端材がでないようなサイズが設計されています。サブロク版は3尺(910mm)×6尺(1820mm)の通称で、ベニヤや合板はこのサイズが基準となって流通しています。その元の材を100%使い切るように計算されているというわけです。

その他、側面からネジが見えないように継ぎ目を工夫していたり、コインでも回せるネジが使用されていたり、細部にまでこだわりが詰まっています。

UA Stoolに使う合板をカットする大同さん
ネジが横面から見えないように板の貼り方が工夫されている
UA Stoolに使用されているコインでも開けられるネジ

ものづくりの本質に触れる。ARIA FACTORY HOMEの志

ものづくりの本質に触れる。ARIA FACTORY HOMEの志
ARIA社長の有吉寿和さんと工場長の大同和樹さん

与謝野は繊維業で栄えたまち。「ものづくりが根付いた地域だからこそ、見る目は一流」とARIA社長の有吉さんは言います。

大量生産、つくって終わりが当たり前になった今だからこそ、「自信をもってお届けできるものを、自分たちの手でつくりたい」と、それぞれのお客様に合った長く使える家具をお届けしています。

人と想いをつなぐコミュニティスペース・ATARIYA

人と想いをつなぐコミュニティスペース・ATARIYA
イノベーションハブ「ATARIYA」

旅の終わりに、今回のツアー主催者である、ATARIYAさんにお話しを伺いました。ATARIYAは、地元の人に古くから親しまれていた料亭「當里家(あたりや)」を再生したコミュニティスペースです。

ATARIYAとしては今回初となるツアー。実際に開催してみると、巡った先でも料亭時代の「當里家」との思い出話を聞くことができ、ここが地元の人にとって大切な場所であることをより一層実感されたそうです。「これからは、より地域の人のハブとなる場所を目指したい」とお話されていました。

ATARIYA ホームページ

モノを通じて、丹後の魅力を再発見

UA Stoolの軌跡をたどった今回の旅。

プロダクトを通してまちを巡ることで、ふだんと違った視点が生まれ、丹後の魅力をより立体的に感じることができました。

次回のツアーは、また新たなプロダクトをテーマに計画中とのこと。

みなさんも、ぜひ参加してみてください。

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