突き動かしたのは丹後への思いそのもの

まちと文化

突き動かしたのは丹後への思いそのもの

「丹後暮らし探求舎」坂田真慶さんと小林朝子さんのお二人が移住の相談から案内、移住・定住にむけて伴走支援。 移住後に望む暮らしを聞き、それに合わせた地域や人の案内、物件探しのお手伝いやイベント情報を発信されています。
その活動は移住支援だけに止まらず、人と人を繋ぐ動きへと拡がりをみせています。

2020年に起こったコロナ禍・・・2020年4月にAll Tango Action(以下オルタン)は結成されました。折しも日本では2020年2月から本格化した新型コロナウイルス感染症の感染爆発。2月末には学校の一斉休校という措置が始まりました。その結果、共働き世帯などの子供を中心に行き場を失うことになってしまったのです。

その子供たちの見守りを始めたのが「丹後暮らし探求舎」。緊急事態宣言の発出を経て逼迫する暮らしの中で、さらにできる事はないかと考えてここに集まった有志とともに立ち上げたのが「オルタン」だったのです。具体的には以下のような取り組みを実行しました。

○あしながパソコン便
休校などで高まったオンラインスキルの必要性。でも使えない、わからない、そもそもPCがないという小・中学生のために京丹後市の企業から集めた中古パソコンを無償で貸し出すサービス。

あしながパソコン便

あしながパソコン便

○たんこめ便
地元農家さんに集めていただいた丹後の米を帰省することができずにいる丹後出身の学生たちに届けました。

たんこめ便

たんこめ便

○KuraNomi
丹後の酒蔵の杜氏をゲストに迎えてお酒の紹介から、地域や酒づくりに対する思いなどを語るオンラインイベントを4回実施。

過去のKuraNomiイベント動画

過去のKuraNomiイベント動画

そして丹後の飲食店を応援したいという気持ちから手がけたのが、

○TAKE OUT たんご
休業を余儀なくされていた飲食店が用意する持ち帰りの弁当や惣菜を紹介するWebサイトで丹後全域60店舗あまりが登録されています。

TAKE OUT たんご

TAKE OUT たんご

○たんくらふぁーーーーん
「京都・丹後の飲食店を未来につないでいく。みんなで飲食店を応援しよう!!」をコンセプトとして丹後からは離れているが応援したい人たちに向けてクラウドファンディングを立ち上げ5月26日までの間に約340万円の支援を獲得しました。

たんくらふぁーーーーん

たんくらふぁーーーーん

突き動かしたのは丹後への思いそのもの

突き動かしたのは丹後への思いそのもの

この丹後の飲食店を助けたいという発想は移住支援をするに至る丹後への思いそのものがきっかけとなっているといいます。

坂田さんは京都移住コンシェルジュとして2017年1月初めて丹後へ。

「丹後の“食”に惹かれて、さらにいえば“食”を楽しむ空間、例えば居酒屋や普通の飲み会とかでもそうなんだけど、“食”を通じてその人たちのコミュニティができて繋がりを生む町という側面を感じました。そこからできた関係性やつながりなりが深くて、そこがすごいいい町だなと思ったんです」。それがあってコロナ禍での緊急事態に飲食店に何かできることはないか、サポートできることは何かと考えて「TAKE OUTたんご」や「たんくらふぁーーーーん」につながっていったのだそうです。

「京丹後のお店が好きすぎて都会から通っている人とかもいるし、その人達がコロナ禍の時にこっちに足を運べない、自分がお客さんでくること自体で迷惑をかけてしまうからって何もできない時、どうしていいかわからない時にクラウドファンディングを利用してくれた。そのお店を指定してとても支援してくれたんですよ。」

ファンづくり、コミュニテイづくり

移住案内においてもどこそこのお店が好きとか、そこでの繋がりが大切でといった事が結構あるといいます、こうしたいわゆるファンの繋がりがたくさん生まれてくると、いろんな切り口でこの町を好きになっていける多様性につながっていける。

大手チェーンばかりになってしまったらこの町の魅力はきっと半減してしまうとも。

丹後暮らし探求舎がやっていることはつまるところ、ファンづくりだったりコミュニテイづくり、いろんな人が持っている関係性みたいなものを可視化して顕在化すること。

「ここまで来たら一緒に行くよ!」

これは窓口としての「丹後暮らし探求舎」が移住希望者に伝えている事。

1人では行く勇気が出ない、お店に行ってもただ買って終わるだけだったりする。
でも、一緒に行くと喋れたり、ハードルが下がる事で一歩その中に入り込みやすくなるもの。

ここ丹後には今までいろんな人達が「人と人をつなぐ」土壌を耕してきていてコーディネーターみたいな人が大勢いいらっしゃいます。
その輪に入るだけでどんどんいろんな人の繋がりが見えてきたり、関係性が繋がってきたりします。

「京丹後は特に広いので、本当にいろんな人がいて、食堂のおばちゃんだったり、スナックだったり、行政の人も。そういういろんな切り口でこの町の事を見られるから1つつながると全部つながる。そこが面白い。」

そもそもなぜ「暮らし探求」?

そもそもなぜ「暮らし探求」?

「最初は移住支援センターでした、今も?(笑)“暮らす”って幅が広いというか仕事とかも暮らしの中に入っていたり、日々の営みが全てといか人の生き様もそうだし。少しでも自分たちもそういう暮らしを探求していきたい。探求している人々のサポートができたら。そのためにも変化し続けていきたいと思っていて、“暮らす”と動詞的に捉える事で全てを包含していくような。例えば『楽しい日常を暮らしたい』とか『毎日の満足度を上げる』といったように・・・」。

二人にとっての丹後とは?との問いに「町の“グラデーション”の幅が広い。つまり深いことやってるところもあればいわゆるチェーン店みたいなポピュラーな事をやっているところもある。そもそも開発されていないから余白が結構あって、その人次第で見える景色が全然違う。」

「日常が旅みたいな地域だなって思っていて、人によって求めるものは違うとは思うけど、旅行先を選ぶのって「美味しいご飯」と「いい景色」「温泉」そして「人」・・・なんだかここに暮らしているだけでなんだか・・・人生の旅に最適!」だと。

そして暮らす人々は、裏日本とも言われる厳しい風土の中で、連携しないと生きていけないというのがあって、こっちにきたらなんかもう「おいでよ」みたいな感じで。

「ここいいよ」ってなんかすごいおっせっかい焼きみたいな感じだとか。しかし、そもそも人がいないことでの心のゆとりがあるような(笑)あぁ、ここでも余白が大切ということなのだそうだ。

観光案内所から暮らし案内所へ

観光案内所から暮らし案内所へ

「ここ“丹後暮らし探求舎”は丹海バスの裏っていうのもあって、観光の人の案内所にもなれたらいいなっていう話もしていて、“人を繋げる”場にしていくっていうと仰々しいけど、例えば『この宿には行こうと思うんだけど、それ以外のどこを見ようかなって思ってるんですが?』ぐらいの立ち寄りで『そこ行くんならここ行ったらいかがですか?』とか、『時間空いてるから連れていきましょうか?』みたいな風になっていけたら」と考えているそう。

観光から移住までのグラデーションってすごい幅が広くて見えるようで見えていないのが現実。

観光客のどれくらいが人と人との繋がりを求めていて、それが基で移住に繋がっていくのかってわかっているようでわかっていない。

実際に農業体験みたいなのも観光と捉えたら移住の実例ってあって、1回目では難しいかも知れないけれど、何回か来るうちに目的を持った人だったら移住までたどり着けるのかもしれません。

例えば、一番最初に場所を特定する時に、観光で蟹を食べに行った京丹後っていうところから入っていって、「じゃ、大学とかの取り組みの中で、袖志の棚田があるからいってみないか?あ、一回行ったことがある場所だし、友達もいるから友達と、っていうことで、こっちに来て、田植えしてみんなでご飯食べたら楽しかった、意外と楽しかった、多分楽しいなって印象が入って、その後何回か旅行とかにも、もしかしたら行ってるかもしれない、というような話で、そろそろ自分の仕事も、タイミング的にどうしようっていうふうに考えた時に、一番最初に浮かぶ場所っていうようなこと検証の価値はあるかもしれません。

5年後の「丹後暮らし探求舎」はどうなっていますか?

5年後の「丹後暮らし探求舎」はどうなっていますか?

「常に変わり続けている、表情が変わっていく、空気感も、ある意味「人」であったり「場」によって変わっていくけれども「たんくらはたんくら」であり続けたい。

そもそもくる人に余白を求めているのに私たちがガチガチではダメでしょう(笑)そして、マイナーではなくマジョリティー(多数に支持されている分野)、

例えばスーパーマーケットだったり日常的に関わっている人たちが町を面白く感じてくれるような、「こういう切り口」もあるんじゃないかとか暮らしの提案やサービスができてくると町で動いていける人も増えるんじゃないかと思っています。」

「“し続ける”って感じじゃないですか?暮らすってね、ずっとアップデートっていうか、ずっと常にプロセスの方だと思うんで、そこにあった形のサービスだったりを、どんどんなんかやっていけるといいのかな。それが今たまたま「移住」。まぁ「移住」から関係人口になっていくのかもしれないですけど。またそれで、そこからまた違う、この、人が暮らしていく中でのサービスって出ると思うので、そこを常に模索し続けるっていう事をやってるのかなぁって感じですけどね。」

取材中の二人の元へ、この日も訪ねて来る人々が。確実に町と暮らしの中に!

丹後暮らし探求舎

丹後暮らし探求舎

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