地域ブランドを製造体験 「舞鶴かまぼこ工房」

まちと文化

地域ブランドを製造体験 「舞鶴かまぼこ工房」

 弾力のある歯応えと上品な魚のうまみが特長の「舞鶴かまぼこ」。京都府舞鶴市を代表する特産品で、特許庁の地域ブランド(地域団体商標)にも登録されている。そんな舞鶴の名物を自らの手で作り、できたて熱々のちくわ、かまぼこ、てんぷら(平てん、さつま揚げ)をその場で味わえる施設がある。西舞鶴の漁港近くにある製造体験施設「舞鶴かまぼこ工房」だ。

名産のかまぼこ作りを体験

名産のかまぼこ作りを体験
上品な風味とプリッとした食感が特長の舞鶴かまぼこ

 グチやエソなどを主な原料とし、最高品質の魚のすり身をふんだんに使用した舞鶴かまぼこ。上品な白身魚の風味と独自の2段蒸しによるプリッとした食感が特長だ。古くから舞鶴の食卓に彩りを添えてきたほか、贈答品としても重宝されている。そんな舞鶴かまぼこの製造体験ができる同工房は2013年、舞鶴市下安久にオープンした。

西舞鶴の漁港近くにある「舞鶴かまぼこ工房」

 工房は市内のかまぼこメーカーで構成する舞鶴かまぼこ協同組合が運営する。名産のかまぼこ作りを体験したいという観光客や市民のニーズに応えるため、組合の事務所倉庫を大幅に改装して整備した。当時、舞鶴には旅行先で観光客がアクティビティーなどを楽しむ場所がなく、工房は体験観光の走りだった。

あっという間の90分 かまぼこ、ちくわ、てんぷらを成形

あっという間の90分 かまぼこ、ちくわ、てんぷらを成形
かまぼこを成形する参加者

 工房には魚をすり身にする機械やすり身を練る石うす、成形作業台、ちくわ焼き機、フライヤーなどが備わっている。体験ではかまぼこ、ちくわ、てんぷらを体験者自らの手で成形し、「蒸す」「焼く」「揚げる」の製造工程を学びながら、自分で作ったちくわなどをその場で味わうことができる。

 90分の体験時間はあっという間に過ぎる。

 まずはかまぼこの成形から。作業台に用意されたすり身を専用のつけ包丁を使ってかまぼこ板の上に盛り、最後はラップにくるんで形を整える。半円状に整えたら完成で、蒸し器に投入する。

かまぼこの由来を説明する辻さん

 開始から約40分。次はちくわ作りだ。

 だがその前に、練り製品の歴史を学ぶ〝プチ講座〟がある。工房でかまぼこ作りを〝指南〟する元舞鶴かまぼこ協働組合専務理事の辻義雄さんが、かまぼこの由来などを説明。舞鶴のかまぼこ博士と呼ばれる辻さんの分かりやすい講義が聴けるのもこの体験の魅力の一つで、工房には製造工程を学ぶ大型パネルも展示されている。

焼き目の付いた熱々のちくわ

 ちくわ作りでは竹の棒にすり身を少しずつ巻き付けながら成形していく。形が整ったら専用の焼き機で焼いて5~6分で完成。香ばしい匂いが部屋いっぱいに広がり、焼き目の付いた熱々のちくわがすぐに食べられる。

魚のうまみが口いっぱいに

魚のうまみが口いっぱいに
次々と揚がっていくてんぷら

 最後はてんぷら作り。用意されたハートや四角の型枠ですり身を成形し、フライヤーで次々と揚げていく。ジューシーな魚のうまみが口いっぱいに広がる逸品だ。

 てんぷらを満喫した頃に、かまぼこが蒸し上がる。体験者は丁寧に蒸し上げたかまぼこの試食ができ、自分が作った丸々1本のかまぼこ、てんぷらなどを自宅に持ち帰ることができる。

 大阪からかまぼこ作りに参加した男性は「魚の新鮮な香りがする。できたてはやっぱりおいしく、自分で作ったと思うと味もひとしお」と満足そうだった。

新鮮な香り 「好吃!」

新鮮な香り 「好吃!」
できたてのちくわをほおばる台湾からの小学生

 台湾からの日本旅行で母親と参加した10歳の男の子と女の子は、「好吃(ハオツー=おいしい)! 今まで食べたてんぷらの中で一番おいしい」と顔をほころばせていた。

「若者に伝えていきたい」

「若者に伝えていきたい」
かまぼこの作り方を教える辻さん。「この仕事の魅力を若い人にも伝えていけたら」と語った

 工房の立ち上げから携わった辻さんによると、客足が途絶えたコロナ禍を乗り越え、ようやく体験者が戻ってきた。大阪を中心に京阪神からの観光客が多く、以前はバスツアーで頻繁に訪れた台湾からの外国人観光客も再び訪れるようになった。

 辻さんは「京都市内の小学生も毎年、学びにやってきます。一番うれしいのはグループのお客さん同士がかまぼこ作りを通じて仲良くなり、楽しく盛り上がっている瞬間。やりがいを感じるし、この仕事の魅力を若い人にも伝えていけたら」と目を細める。「舞鶴には、まだまだ体験観光の資源がたくさんあります。同じような施設がもっと増えたらうれしい」

 かまぼこ作り体験の料金は1人3千円。ちくわとてんぷら作りのみの短縮コースもある。予約は舞鶴観光協会のホームページ「舞鶴観光ネット」から。

舞鶴観光ネットホームページ

舞鶴かまぼこの逸品を紹介

舞鶴かまぼこの逸品を紹介
舞鶴かまぼこ3社が製造販売するかまぼこ商品

 舞鶴かまぼこの製造事業者は3社。それぞれが魚本来のうまみを最大限に引き出す職人技で製造し、その個性も魅力だ。各社の代表的なかまぼこを紹介する。

 嶋七(舞鶴市北田辺)の「御蒲鉾(おんかまぼこ)」は、舞鶴かまぼこの中で一番しっかりとした歯ごたえがあり、シコシコッとした食感が特長。魚の味が濃く、うまみが凝縮した逸品だ。

 高作商店(舞鶴市魚屋)の「練の極(ねりのきわみ)」は、しなやかで瑞々しくプルプルとした食感が楽しめる。透き通った雑味のない魚のうまみを感じられる上品な味わいを特長としている。

 藤六(舞鶴市竹屋)の「藤の花」は、かまぼこ職人の人柄が伝わる、ほんのりと優しいやわらかさが魅力。とてもさっぱりとした味わいで、後からじんわりと魚のうまみが広がる。

舞鶴かまぼこ3社の製品がそろう西舞鶴駅の「舞鶴観光ステーション」

 いずれもJR西舞鶴駅の観光案内所「舞鶴観光ステーション」や舞鶴赤れんがパークの土産売り場「赤れんがSHOP」で販売している。

 舞鶴かまぼこは市内の食品スーパーでも気軽に購入が可能で、食べ比べを楽しんでみてはいかが。

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