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【ふるさと納税】「魚好きを増やしたい」が原動力。魚のおいしさを追求し続ける職人の技(ENDEAVOR)

天然の良港を形成する舞鶴は海の幸の宝庫。京都中から魚が集まる漁港を持ち、西は古くから城下町や北前船の寄港地として、東は明治以降、海軍港として発展を遂げてきました。舞鶴に根を下ろし、伝統や文化を引き継ぎながら、豊かな海からの恵みを大切に守り育てる人たちにスポットを当てます。

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「魚好きを増やしたい」が原動力。魚のおいしさを追求し続ける職人の技【ENDEAVOR】

舞鶴の港を見下ろす小さな作業場で手際よく釣れたばかりの鰆を捌く松田慎平さん。手際の良さもさることながら、その後ろ姿はとにかく楽しそうです。4〜5日熟成させたあと、地元の料理屋に届けるのだと言います。

てっきり舞鶴の海の近くで生まれ育ったのかと思いきや、実は大阪出身の松田さん。無類の魚好きが高じて魚の生態や加工に興味を持ち、その後就職先として赴任した舞鶴に根を下ろしました。
良港な港を持ち、京都中の魚が集まる舞鶴。漁業を生業にしている人も多い環境の中で、自らも2020年に独立。最初の1年は購入した釣り船で収入を得ながら、魚や加工についてさらに研究を深めるための準備期間に。その時期にソフト干物の特殊技術に出会い、2021年、本格的に水産物の加工販売をスタートしました。

旬の魚をより多くの人に届けるため、最初にこのソフト干物の商品化に乗り出します。
魚が苦手だと言う人の多くが敬遠するのが、魚の生臭さ。それを解消するためには、しっかりと血抜きや洗浄といった下処理を正しく徹底的に行うことが大切で、松田さんの技術が冴える瞬間でもあります。適切に下処理された魚は、3〜5日かけて熟成させ、しっかり脂を乗せてうま味を引き出してから、特殊冷風乾燥機で約2時間掛けて殺菌処理をし、うま味をとじこめます。

温度と湿度が管理された庫内で、短時間にまんべんなく空気を送るため、従来の天日干しと比べ、格段にふっくらと柔らかくジューシーに仕上がるのが特徴で、「ソフト干物」と呼んではいますが、良く知る「干物」と言うよりは、「うま味が凝縮された鮮魚」という印象。
そのまま焼くだけでも美味しく食べられますが、生臭さがなくうま味も濃いため、煮付けや天ぷら、パスタなど幅広く料理に応用できます。

こうした特殊技術によって、より遠く、より多くの人に獲れたての魚のおいしさを届けられるようになったことは、これまで時間や距離の問題で課題になっていた離島の廃棄魚活用の一助にも。松田さんは地元舞鶴産の魚だけにこだわらず、五島列島など、こうした離島の魚も積極的に使っています。
ソフト干物としてブランドを立ち上げて2年。既に彼が作るソフト干物の美味しさは評判を呼び、仕込みに追われる毎日を送っています。

最近はソフト干物の西京味噌漬けやハーブ漬け、塩麹漬けなど、魚の特性を活かしてバリエーションも豊富に。和食だけにとどまらない幅広さや、調理の手軽さも支持されている要因のひとつと言えそうです。より日常使いしてもらえるよう、まちなかに直売所をつくる計画もあります。
下処理から熟成などの工程を考えると、時間も労力もかかる作業。「好きでないとできない仕事」、と言う松田さん。そのすべての原動力は「魚の美味しさを広め、魚好きを増やしたい」という想いに集約されます。そしてそれは、漁師をはじめ水産業界全体を守ることにも繋がります。

今後は、イベントなどにも積極的に参加したいという松田さん。「魚の美味しさを知ってもらえるきっかけになるなら、自分の持っている知識や技術は惜しみなく伝えたい」とも。魚好きを増やす伝道師として、さらに活躍の幅は広がりそうです。


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